新NISAの出口戦略|いつ売るべき?非課税枠の再利用や受け取り方の注意点を解説
新NISAをきっかけに投資を始めた方のなかには「新NISAはいつ売却すればいいのだろう」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
実際のところ「このタイミングで売れば正解」という明確な答えはありません。ライフイベントや目標金額、売却後の資金の使い方までを含めて出口戦略を考えることが大事です。
この記事では、新NISAの出口戦略の基本的な考え方を整理したうえで、売却を検討する主なタイミングや取り崩し方法、非課税枠の再利用について解説します。ぜひ参考にしてください。
新NISAにおける出口戦略とは?
出口戦略とは「資産をいつ売却するのか、そして売却後の資金をどのように使うのか」をあらかじめ整理しておくことです。
資産運用を考えるうえで「始め方」だけでなく「終わらせ方」までを含めて考えることが重要です。どれだけ順調に資産が増えたとしても、必要なときに適切な形で使えなければ、資産運用の目的を十分に果たせたとはいえません。
新NISAでは非課税期間が無期限となり、長期運用がしやすくなりました。しかし、教育資金や老後資金といったライフイベントに応じた資産の取り崩しを考えると、新NISAであっても出口戦略は欠かせません。
あらかじめ出口戦略を考えておくことで、相場の動きに一喜一憂しにくくなり、落ち着いて運用に取り組めます。
新NISAの売り時は主に3つ
一般的には、新NISAの売り時は、主に以下の3つに分けられます。
- ライフイベントが訪れたとき
- 目標が達成したとき
- 市場状況の先行きが不透明なとき
それぞれの売り時について詳しく解説します。
ライフイベントが訪れたとき
ライフイベントが訪れたときは、新NISAを売却する大きなタイミングの一つです。
なかでも教育費や住宅購入など、人生の節目となるライフイベントでは、まとまった資金が必要になるケースも少なくありません。このような資金需要が明確になった段階では、新NISAで運用してきた資産の売却を具体的に考えるタイミングといえるでしょう。
主なライフイベントとしては、次のようなものが挙げられます。
- 結婚
- 出産
- 進学
- 住宅購入
- 定年退職
- 老後生活
このように、人生にはさまざまな場面で大きな支出が発生します。資産運用は、あくまで将来の支出に備えるための手段です。目的とする時期が近づいてきた際には、相場環境を踏まえつつ、計画に沿って現金化を検討する必要があるでしょう。
目標が達成したとき
新NISAで資産運用を行う場合、あらかじめ設定した目標が達成した時点で売却することも判断の一つです。
例えば、自動車購入資金として500万円を目標に運用していたケースを考えてみましょう。想定していたよりも早い段階で目標額に到達した場合、その後の相場変動によって資金が減ってしまうリスクを避けるため、早めに売却して現金を確保しておくのも有効な選択肢です。
売却後の資産はそのまま現金で保有するのか、あるいは元本の安全性を重視した定期預金や国債などで運用を続けるのかを検討することになります。
市場状況の先行きが不透明なとき
市場の先行きが不透明だと感じる局面において、将来使う予定が比較的近い資金については、売却を検討する考え方もあります。
市場で大きな動きや予期せぬニュースが発生した場合、今後の相場下落を懸念する場面も出てきます。直近でも、感染症の拡大をきっかけに世界的な株価下落が起きるなど、市場環境が急変した事例がありました。
このように先行きが不透明な状況では、将来的に使う予定の資金について、資産の全額または一部を売却し、いったん様子を見るという判断をとることもできます。
もっとも、市場状況を見極めながら売却判断を行うことは容易ではありません。相場観に自信がない場合や判断に迷う場合は、自分一人で決断せず、専門家に相談しながら進めることも有効な選択肢といえるでしょう。
新NISAの主な取り崩し方法3つ
新NISAで運用した資産をどのように取り崩すかは、売却のタイミングと同じくらい重要なポイントです。具体的な方法として以下の3つが挙げられます。
- 運用した資産を全額取り崩す
- 少しずつ取り崩す
- 配当金や分配金だけを受け取る
以下では、それぞれの取り崩し方法の特徴や注意点について解説します。
運用した資産を全額取り崩す
全額取り崩しは、住宅購入や教育費の一時金など、まとまった資金を一度に確保したい場面に選ばれる方法です。必要額が明確で、支払い時期が近い場合に有効です。
一方で、この方法は売却するタイミングの相場状況に大きく左右されます。売却時に相場が下落基調となっていると、想定していたほどの利益を受け取れない可能性もあります。そのため、全額取り崩しを検討する際には、売却時期や市場環境を踏まえた慎重な判断が求められます。
少しずつ取り崩す
運用してきた資産を一度に売却するのではなく、段階的に現金化していく方法もあります。まとまった資金をすぐに使う予定がない場合や、老後の生活費として長期間にわたり活用する場合に適した考え方です。
例えば、新NISAで老後資金2,000万円を準備できたとしましょう。この場合、全額を一度に取り崩す必要はなく、毎月の生活費として必要な分だけを取り崩していく方法が考えられます。具体的な取り崩しとして、主に次のパターンが挙げられます。
| 取り崩しパターン | 内容の例 |
|---|---|
| 必要な金額ずつ取り崩す | 毎月5万円ずつ売却する |
| 一定率取り崩す | 年初保有残高の4%だけ売却する |
この方法では、取り崩していない部分の資産は引き続き運用されるため、保有資産の減るペースを抑えやすくなります。ただし、その場の判断で取り崩し額や頻度を決めてしまうと、計画がぶれやすくなるため、あらかじめ取り崩しのルールを決めておくことが重要です。
配当金や分配金だけを受け取る
配当金や分配金だけを受け取る方法も選択肢の一つです。
これは、運用を続けながら、そこから生じる配当金や分配金のみを受け取っていく取り崩し方です。受け取った配当金や分配金を再投資せず、そのまま生活費や予備資金として活用します。
例えば、年末時点で受け取った配当金や分配金の合計が50万円だったとしましょう。その場合は翌年に50万円のみを受け取り、元本には手をつけずに運用を継続するという使い方が考えられます。
※ただし、投資信託の分配金は元本払戻金(特別分配金)となる場合があり、分配金の状況によっては、実質的に元本が減少する場合もある点には注意が必要です。
この方法では元本を売却しないため、資産そのものが減りにくく、長期的にみて資産の枯渇リスクを抑えやすい点が特徴です。一方で、配当金や分配金の金額だけでは、必要な資金を十分にまかなえないケースもあります。
ライフイベントごとにみる資金の受け取り方
前述のとおり、新NISAの売却タイミングとして「ライフイベントが訪れたとき」と解説しました。ただし、ライフイベントといっても、その内容や資金の使い方はさまざまであり、すべて同じ取り崩し方が適しているわけではありません。
ここでは、代表的なライフイベントごとに、新NISAで準備した資金をどのように受け取るのが適切かについて解説します。
教育資金
教育資金は、進学時にまとまった支出が発生する点が大きな特徴です。とくに入学時には、初年度納付金など一時的に多額の資金を用意する必要があります。一方で、在学中にかかる費用は毎年・毎学期ごとに発生するため、取り崩し方を分けて考えることが重要です。
例えば、入学時に必要となる初年度納付金(入学金や授業料などを含む)については、あらかじめまとめて取り崩しておく方法が考えられます。一方で、教科書代や学用品費、実習費など、その都度発生する費用については、必要になったタイミングで資産を取り崩すことで、運用期間を確保しやすくなります。
教育資金は「最初に必要となる一時的な支出」と「在学中に継続して発生する支出」を切り分けて準備することが、計画的な資産活用につながるでしょう。
住宅購入
住宅購入では、頭金や諸費用としてまとまった資金が必要になります。そのため、新NISAで準備してきた資金を充てる場合は、必要額をまとめて現金化することが基本となります。
住宅購入にかかる主な費用は以下のとおりです。
- 頭金
- 仲介手数料
- 登記費用
- 住宅ローンの事務手数料
一般的に住宅の買付から決済までの期間は、物件やローン条件にもよりますが、おおむね1~2ヵ月程度とされており、比較的短期間で資金を準備する必要があります。そのため、住宅購入を予定している場合は、現金化のタイミングを早めに検討しておくことが重要です。
老後資金
老後資金については、資産を少しずつ取り崩していくことが前提となります。老後生活が何年続くかは事前に分からないため、資産が途中で枯渇しないよう、無理のない取り崩しが求められます。
老後資金の取り崩し方として広く知られているのが「4%ルール」です。これは、毎年の取り崩し額を運用資産の4%以内に抑えることで、30年が経過しても資産が枯渇しにくくなるとされる考え方です。
例えば、新NISAで老後資金2,000万円を準備できた場合、取り崩し額は以下のようになります。
2,000万円×4%=年間80万円
残りの資産は引き続き運用されるため、資産全体が急激に減りにくい点が特徴です。もっとも、4%ルールはあくまで一つの考え方であり、年齢や資産額、生活費の水準、市場環境によって適切な取り崩し方は異なる点に注意が必要です。
売却を検討する際の注意点や意識したいポイント
ここでは、売却を検討する際に意識しておきたいポイントや、判断を誤りやすい場面について解説します。
暴落がきても焦って売らない
市場が大きく下落した局面では不安が生じやすいものです。しかし、新NISAは長期的な資産形成を前提とした制度であるため、一時的な下落だけで判断する必要はありません。
市場はこれまで何度も下落と回復を繰り返してきました。必要がない限りは短期的な値動きに振り回されず、冷静に状況を見守る姿勢が、長期投資では重要といえるでしょう。
もっとも、近い将来に資金を使う予定がある場合には慎重な判断が求められます。そのような局面では、価格変動の影響を抑えるために売却を検討することが合理的な場合もあります。
運用益が出ていてもあくまで長期運用が前提
新NISAは長期的な資産形成を前提とした制度であるため、少しの運用益が発生したからといって、すぐに売却する必要はありません。短期的な値上がりを理由に売却してしまうと、本来得られたはずの長期的な運用効果を十分に活かせない可能性があります。
あくまでも長期運用を前提に、時間を味方につけて資産形成を進めていくことが大事です。日々の価格変動に一喜一憂せず、計画に沿った運用を続けることが、安定した資産形成につながるでしょう。
売却後に復活した非課税枠は再利用できる
新NISAでは、保有している商品を売却すると、その取得額分について、翌年以降年間投資枠および生涯投資枠の範囲内で、非課税枠が再利用できる仕組みになっています。つまり、売却して終わりではなく、その後の資産形成にもつなげられる点が大きな特徴です。
例えば、新NISAで購入した投資信託を取得額30万円分売却した場合、翌年以降にその30万円分の非課税枠が復活します。その後、再び投資に回せる資金ができたタイミングで、この復活した枠を使って新たに投資を行うことが可能です。
その際には資金の使い道や再投資方針によっては「成長投資枠」から先に売却するという考え方も一つの選択肢となります。成長投資枠は一括投資が可能なため、売却によって現金化したあとも、まとまった資金をそのまま再投資に回すことができます。
売却判断が難しい場合はIFAに相談
ここまで解説してきたとおり、新NISAの出口戦略では、売却の時期や資金の受け取り方をあらかじめ整理したうえで判断する必要があります。ただし、実際にどのタイミングで売却するかを見極めるのは簡単ではありません。
とくに、市場の先行きや相場環境を踏まえて判断する場面では、自身で結論を出すのが難しいケースも多いでしょう。そのような場合には、投資の専門家であるIFAの意見を取り入れることも一つの選択肢です。
IFAは、資産運用全体の状況やライフプランを踏まえたうえで、出口戦略について客観的なアドバイスが期待できます。売却判断に迷ったときや、自身の考えに不安がある場合は、一度専門家であるIFAに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
新NISAの出口戦略では「いつ売却するか」だけでなく「売却後の資金をどのような形で受け取り、計画的に取り崩していくか」まで含めて考えることが重要です。
売り時はライフイベントや目標達成、市場環境など複数の視点から判断します。資金の取り崩し方についても、全額を一度に現金化する方法や、段階的に取り崩す方法などがあるため、目的や資金計画に応じて選ぶ必要があるでしょう。
事前に売却条件や取り崩し方法を決めておくことで「目標額に到達したら売却する」「必要資金の分だけ取り崩す」といった判断がしやすくなります。もし、判断に迷う場合は、信頼できる専門家の意見を参考にしながら、自身に合った出口戦略を検討してみましょう。
掲載コラムに関するおことわり
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