インフレ・円安に負けない資産防衛術|現金だけで持つリスクと対策
「最近、なんだか生活費が増えている気がする」「貯蓄しているけど、今の金額で大丈夫なのか不安を感じる」…昨今の物価高や円安を受けて、このように感じている方も多いのではないでしょうか。
インフレや円安から大切な資産を守るためには、自ら対策を講じることが必要不可欠です。
ここでは、インフレや円安によってお金の価値がどのように変化するのかを解説したうえで、資産を守るための防衛策をご紹介します。
「インフレでお金の価値が目減りする」ってどういうこと?
インフレとは、モノやサービスの価格が上昇することです。このインフレが続くと企業の業績がアップしたり、従業員の賃金がアップしたりするメリットがありますが、一方で「お金の価値が目減りしてしまう」というデメリットもあります。
まずは、インフレによるリスクを確認していきましょう。
インフレでお金の価値が目減りする仕組み
インフレによってお金の価値が目減りするといわれるのは、物価上昇が起きると「同じ金額で買えるものが減る」ためです。
たとえば、1,000円で10個買えていた食料品が、物価上昇によって8個しか買えなくなったとします。手元の1,000円という金額は変わっていないにもかかわらず、その1,000円で手に入るものは減少しています。
これが「お金の価値が目減りする」ということです。
預金残高は変わらなくても、物価が上昇し続ける限り、その預金で実際に買えるものは少なくなっていきます。つまり、インフレが続く局面において、資産を現金のままで持ち続けることは、実質的に資産価値が減り続けていることと同じといえます。
物価の推移を確認してみよう
実際に、日本の物価はどのように推移しているのでしょうか。総務省統計局が公表している消費者物価指数(CPI)を見てみましょう。
消費者物価指数(全国・総合)の推移
2020年を100としたときの総合指数は、2026年2月で112.2まで上昇しており、ほぼ右肩上がりに物価上昇が続いている状況です。日本銀行は、引き続き物価を安定的に2%上昇させることを目標にしていることから、この物価上昇の流れは当面続くものと考えられるでしょう。
このまま物価上昇が続くとどうなる?
では、このまま物価上昇が続くと、私たちの資産にはどれくらいの影響があるのでしょうか。下記の図は、元本100万円が30年後にどれくらいの実質的価値があるか、インフレ率別に示したものです。
インフレ率別・元本100万円の30年後の実質価値
インフレ率が年2%で推移した場合、30年後の実質価値は約55万円。年3%では約41万円にまで実質的価値が目減りする計算になります。もちろん、これは30年間一定のインフレ率が続くことを前提にしたシミュレーションであり、実際の物価動向とは異なるものの、物価上昇が資産価値に与える影響の大きさが分かります。
これまで長く続いたデフレの時代では、「とりあえず預金に置いておけば安心」と考えられてきましたが、インフレが続く局面ではそうした考え方も改める必要があるかもしれません。
円安が私たちの生活に与える影響
インフレと並んで、私たちの生活に大きな影響を与えているのが円安です。円安とは、外国通貨に対して日本円の価値が下がることを指します。
ここでは、円安が私たちの生活に与える影響について確認していきましょう。
輸入品の価格上昇
円安が進むと、海外から商品を輸入するコストが増加し、その影響が国内の価格に波及します。特に、日本では食料品やエネルギーの多くを輸入に頼っていることから、その影響は大きなものです。
たとえば、100ドルの価格の商品を仕入れるとき、1ドル=100円の場合は1万円で仕入れることができますが、1ドル=150円になると仕入れ価格が1万5,000円まで上昇します。
この差額はやがて販売価格に転嫁されるため、食料品やエネルギー、日用品などの価格上昇として私たちの家計に直結します。
資産価値の目減り
円安は、輸入品の価格を通じた生活コストの上昇だけでなく、円建て資産の実質的な購買力にも影響を与えます。
たとえば、100万円の価値で考えてみましょう。1ドル=100円のときは1,000ドル相当の商品を買うことができますが、1ドル=150円になると約667ドル分の商品しか買えなくなります。100万円という金額は変わっていないのに、海外の商品やサービスに対する購買力は大きく低下していることになります。
これにより、海外旅行や留学の費用が高額になったり、海外のサービス利用にかかるコストが増加したりする影響が考えられます。
このように、円安が進む局面では、資産を円だけで持つことにもリスクがあるといえるでしょう。
インフレや円安に対する資産防衛策
インフレや円安による資産価値の目減りに対抗するためには、現金以外の資産を取り入れながらポートフォリオ全体のバランスを整えることが重要です。
ここからは、大切な資産を守るための具体的な方法を紹介していきましょう。
現金以外の資産を持つ
資産を現金だけで持っていると、インフレや円安による影響に対抗することができません。資産の目減りを防ぐためには、株式や債券、現物資産、外貨などに分散することが大切です。
株式・債券
インフレ対策としてよく挙げられるのが株式です。株式は、市場環境や金利動向、企業ごとの収益構造などにより価格は変動します。一般的にインフレが起きると企業の売上や利益が増加するケースがみられることから、その影響を受ける資産の一つと考えられます。
また、債券は株式に比べてリスクが低いことから、ポートフォリオのバランスを取る役割があります。株式・債券をリスク許容度に応じて組み合わせることで、インフレ・円安のリスクに備えながら資産全体のバランスを保つことができるでしょう。
現物資産(金・不動産など)
金(ゴールド)は、国際的な需給や金利、為替などの影響により価格は変動し元本が保証されるものではありませんが、一般にインフレ局面で資金の受け皿となる傾向がある資産の一つとされています。
加えて、金は米ドル建てで取引されることが多いため、円安の局面では円換算での価値が上昇しやすいことも大きな特徴です。
また、不動産も金利動向や地域需給、景気などの影響により価格や賃料は変動しますが、物価上昇局面では不動産価格や賃料が上昇する傾向があるとされています。現物不動産の取得が難しい場合は、REIT(不動産投資信託)を通じて少額から不動産に分散投資する方法もよいでしょう。
外貨
為替相場は上下に変動し元本割れとなる可能性がありますが、円安が進む局面では、米ドルやユーロなど外貨建ての資産を保有することで為替の変動による影響を緩和できる可能性があります。具体的には、外貨預金や外国債券、外貨建て保険などが挙げられます。一方、円高時には円換算での価値が下落する可能性があります。
リスクを分散する
株式や現物資産、外貨などは、円安・インフレリスクへの対策として有効であるものの、元本割れのリスクがある点には注意が必要です。市場環境によっては分散効果が十分に得られない場合もありますが、複数の「通貨・地域・投資時期」に分散することで価格変動の影響を平準化することが期待されます。
- 通貨の分散…円や米ドル、ユーロなど複数の通貨に分散することで、主に為替変動リスクを和らげることができる。
- 地域の分散…日本や米国、欧州など複数の地域に分散することで、特定の国や地域の経済状況に左右されにくくなる。
- 時間の分散…一度にまとめて投資するのではなく、時期を分けて少しずつ投資することで、価格変動の影響を平準化する効果がある。
税制優遇を活用する
現金以外の資産を持つときは、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇の措置を活用することも検討してみましょう。
- NISA…上場株式や投資信託の運用で得た利益が非課税になる制度。年間投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、最大1,800万円まで非課税で運用できる。
- iDeCo…私的年金制度のひとつ。毎月の拠出額を自分で選んだ運用商品で運用し、その運用成果を将来年金として受け取る。拠出金は全額所得控除されるなど税制優遇がある。
こうした税制優遇の制度を活用することで、より効率的に運用ができたり、税負担を軽減できたりするメリットがあります。
※制度内容や税制は変更される可能性があり、また投資元本や運用成果は保証されません。
定期的にポートフォリオを見直す
資産運用では、市場環境の変化や、自分自身のライフステージの変化などに応じて、定期的にポートフォリオを見直すことが大切です。
たとえば、若い頃は積極的にリスクを取った資産配分であっても、退職が近づくにつれてより安定的な資産配分に切り替えていくことが考えられます。
また、株式相場の上昇によって当初予定していたよりも株式の比率が高まった場合に、バランスを整え直す「リバランス」も定期的な見直しの一環です。
「半年に1回はポートフォリオを見直す」など具体的な目安を作って、保有資産の状況を確認する習慣をつけておくとよいでしょう。
資産防衛を始める前に確認しておきたいこと
資産防衛の必要性は理解できても、「何から始めたらいいのか分からない」という方も多いかもしれません。ここからは、資産防衛を始める前に確認しておきたい3つのポイントを紹介していきます。
生活防衛資金は現金で確保する
資産運用を始める前に、まず生活防衛資金を現金で確保しておくことが大切です。株式や債券、現物資産などは現金化に時間がかかることに加えて、市況によっては価値が減少している場合もあるためです。
病気やケガ、急な出費など予想しない事態が起きたときにすぐに現金を準備できるように、ある程度の現金は手元に残しておきましょう。
一般的に、生活防衛資金の目安は「月々の生活費の3〜6ヶ月程度」といわれています。毎月の生活費が20万円の場合は、60〜120万円が目安です。
リスク許容度を明確にする
資産運用に取り組む際は、自分のリスク許容度をよく理解しておくことが重要です。
たとえば、「なるべくリスクを低減しながら安定的な運用をしたい」という場合と「積極的にリスクを取ってでもリターンを狙いたい」という場合とでは、適切なポートフォリオが異なります。
ご自身の年齢や収入、資産規模、家族構成、投資経験、投資の目的などを踏まえたうえで、「どれくらいのリスクを受け入れられるか」ということを考えてみましょう。
専門家からアドバイスを受ける
大切な資産を守るためには、専門家からアドバイスを受けることもひとつの方法です。インフレ対策や資産防衛の方法は多岐にわたり、自分に合ったものを見つけることは容易ではありません。
近年では、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談する方が増えています。IFAとは、特定の金融機関に所属していないことが特徴の金融アドバイザーです。
もちろんこれから資産運用を始める初心者の方も多く相談していますので、「何から始めたらいいのか分からない」「どんなポートフォリオが向いているのか分からない」といった方でも気軽に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
インフレや円安が続く局面において現金だけで資産を持ち続けると、実質的に資産価値が目減りしてしまうリスクがあります。大切な資産を守るためには、現金以外の資産を組み合わせたポートフォリオを構築することが重要です。
「何から手をつければよいか分からない」と感じる場合は、専門家への相談も選択肢のひとつとして検討してみましょう。
お金の不安や疑問を、まずはプロに相談してみませんか?
あなたのライフプランに合った選択肢を一緒に整理します。
ぜひ一度、資産運用コンサルタントへご相談ください。
掲載コラムに関するおことわり
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※当サイトの運営会社である「ジャパンウェルスアドバイザーズ株式会社」は、本コラムで言及するIFA (金融商品仲介業者)です。
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※投資には価格変動等のリスクが伴い、元本を割り込む可能性があります。個別の商品内容や手数料等については、お取引される金融機関が交付する契約締結前交付書面等をご確認ください。
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※投資、税務、ライフプラン等に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任で行ってください。必要に応じて、専門家(税理士、FP、弁護士、IFAなど)にご相談ください。
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