【米国債・外国債券】生債券投資の魅力と選び方|外貨建て資産を賢く活用するポイント

2026年8月18日

  • 執筆
    山下 耕太郎(トレーダー、金融ライター)

近年、円安が長く続き、輸入品の値上がりや生活コストの上昇など「円の価値が下がっている」と実感する場面が多くなりました。また、日銀は金融政策の正常化を進め、政策金利は緩やかな引き上げ局面にありますが(※)、円預金の金利は主要な外貨と比較すると依然として低水準にとどまっています。このような環境下で、円以外の通貨で資産を持つ「外貨建て資産」への関心が高まっています。資産の一部を外貨で保有することは、円の価値が下がった際のリスクをヘッジするという資産分散の観点からも非常に有効な手段です。

外貨建て資産にはさまざまな種類がありますが、本記事では特に「外国債券(生債券)」に焦点を当てて解説します。外国債券は、円預金にはない高い利回りが期待できる魅力的な金融商品です。本記事では、外貨預金など他の外貨建て資産との構造的な違いを客観的に整理したうえで、利回りやコストの仕組みを詳しく説明します。また、個別の銘柄選定や為替リスク管理の重要性についても解説し、運用に迷った際に頼りになるIFA(独立系金融アドバイザー)による包括的なアドバイスの価値についても紹介します。本記事を読めば、ご自身の資産を守り育てるための外貨建て資産の賢い活用方法が見えてくるはずです。

※今後の金融政策の動向は不確実です

外貨建て資産を比較!「外国債券(生債券)」と「外貨預金」の構造的な違い

外貨建て資産での運用を考える際、多くの方がまず思い浮かべるのが「外貨預金」でしょう。しかし、「外国債券(生債券)」も非常に有力な選択肢となります。ここでは、両者の構造的な違いを比較しながら、それぞれの特徴を詳しく解説します。

外国債券(生債券)の仕組みと特徴

外国債券とは、発行体・通貨・発行市場のいずれかが外国である債券のことを指します。私たちが購入できる最も一般的な外国債券は、国内で発行される外貨建ての債券です。

外国債券を購入すると、保有している間は継続的に額面金額に対して決まった「利金」を受け取ることができます。「年に2回利払い」というように、確定した金額が確定した日に受け取れるのが大きな特徴です。そして、償還日(満期の日)を迎えると、額面金額の100%で償還される、つまり元本が戻ってくる仕組みです(※)。さらに、償還日を迎える前であっても、途中で売却して現金化することもできますが、売却のタイミングによっては、元本割れとなる可能性もあります。

通貨や発行体、償還までの期間、利回りなど、多彩な選択肢が用意されている点も外国債券の特徴のひとつです。ただし、発行体の経営状況によっては利金や元本の支払いを受けられなくなる「信用リスク」がある点には、十分な注意が必要です。

※発行体が債務不履行に陥らない場合に限ります。
※円換算する際は為替変動の影響を受けるため、元本割れとなる可能性があります。

外貨預金の仕組みと特徴

外貨預金とは、日本円を外国の通貨に交換して銀行等に預け入れ、利息も外貨で支払われる銀行預金のことです。円預金と同様に、いつでも入出金が可能な「普通預金」と、あらかじめ預け入れ期間を定める「定期預金」の2種類があります。定期預金は期間が決まっている分、普通預金よりも金利が高く設定される傾向にあります。

外貨預金はオンラインバンキングなどを通じて数百円から始められる手軽さが魅力ですが、円預金とは異なる重要な注意点があります。それは、「預金保険制度(ペイオフ)」の対象外であるという点です。万が一、預け先の銀行等が破綻した場合、預け入れた外貨は保護されません。そのため、経営が安定している信頼のおける銀行を慎重に選ぶことが非常に重要になります。

利回りとコスト(為替手数料)の仕組みを比較

外国債券と外貨預金では、利回りとコストの構造にも違いがあります。

外貨預金の場合、円から外貨へ、また外貨から円へ交換する際に、銀行等が独自に定める「為替手数料」が必ず発生します。為替手数料が含まれたレートは、円から外貨への交換時を「TTSレート」、外貨から円への交換時を「TTBレート」と呼びます。この為替手数料が高いと、せっかく受け取った利息以上のコストが差し引かれ、最終的な利益が大きく目減りしてしまいます。金融機関の選択によっては、往復の為替手数料に何倍もの差が生まれることもあるため、コストが低い金融機関を選ぶことが鉄則です。

一方の外国債券も、為替手数料やスプレッドは発生します。しかし外貨預金の定期預金と比較して、より長期間にわたって固定された高い利率を享受できるケースが多いのが特徴です。長期間の運用になればなるほど、為替手数料の影響は相対的に平準化されやすくなります

米国債など「外国債券(生債券)」に投資する3つの魅力

外貨建て資産の中でも、米国債などの外国債券への投資には、円預金や国内資産にはない独自の魅力があります。ここでは、大きく3つのメリットに分けて解説します。

日本の低金利と比較して相対的に高い利回りが期待できる

外国債券投資の最大の魅力は、日本と比較して高い金利を享受できる点です。日本ではインフレ傾向が続いているにもかかわらず、円預金の金利は主要な外貨と比較すると依然として低い水準にとどまっています。一方、米国をはじめとする諸外国では政策金利が高く設定されており、外国債券に投資することでより高い利回りを狙うことが可能です。

例えば、政策金利の違いを背景に利率の異なる債券で10年間複利運用した場合、最終的な受取金額には大きな差が生じます。長引く日本の低金利環境の下では、海外の高金利通貨で発行される債券に目を向ける意義は非常に大きいと言えるでしょう。

為替差益の獲得と、他の資産との分散投資効果

外国債券投資では、金利による収入だけでなく、為替変動による「為替差益」を得られる可能性もあります。債券を購入した時点と比べて、売却または償還を迎えた時点で円安(円の価値が下がり、外貨の価値が上がること)が進んでいれば、その差額分が為替差益として上乗せされます。

さらに、資産分散の観点からも外国債券は優れた特性を持っています。外国債券は日本の債券や株式とは異なる値動きをする傾向があるため、国内資産だけでなく外国債券をポートフォリオに組み入れることで、リスク低減効果が期待できます。実際に、私たちの年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、国内外の株式や債券に分散投資を行っており、外国債券も重要な運用資産として組み入れられています。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
資産構成割合 25% 25% 25% 25%
乖離許容幅
各資産
±6% ±5% ±6% ±6%
乖離許容幅
債券・株式
±9% ±9% ±9% ±9%

出典:GPIF「基本ポートフォリオの考え方

2001年度以降の累積収益

GPIF 2025年度の運用状況「2001年度以降の累積収益」

出典:GPIF「2025年度の運用状況

保有中の定期的な利金収入と償還時の安定性

外国債券は、保有している間、継続的に決まった利金を受け取ることができます。年に数回、確定した日に利金が受け取れるため、安定したキャッシュフローを生み出す資産として非常に重宝します。

また、保有期間中に価格が変動したとしても、満期である償還日を迎えれば原則として額面金額の100%で償還されます(発行体が債務不履行にならない限り)。為替変動や発行体の信用状況によっては損失が生じる可能性がある点に留意が必要ですが、使い道や運用期間があらかじめ決まっている資金について、期間と利回りをある程度見通したうえで計画的に運用できる点は、外国債券投資の特徴のひとつと言えます。

失敗しないための外国債券の選び方と銘柄選定のポイント

魅力の多い外国債券ですが、銘柄選びを誤ると大きな損失を被るリスクもあります。ここでは、失敗しないための銘柄選定のポイントを解説します。

金利や利回りだけで選ばず、発行体の「信用力」を確認する

「海外の金利が高いから」という理由だけで安易に銘柄を選ぶのは非常に危険です。一般的に、高い金利が設定されている債券ほど、信用リスク(発行体が利払いや元本返済を履行できなくなるリスク)も高い傾向にあります。

銘柄を選ぶ際は、必ず発行体の「信用力」を見極めましょう。信用力は、格付け会社が付与する「格付け」を目安にすることができます。一般に「BBB」以上の格付けは「投資適格格付」とされ、相対的に信用度が高いと評価されます。ご自身の投資目的や目標金額を明確にし、どの程度のリスクであれば許容できるかを確認したうえで、リスク許容度に合った格付けの債券を選ぶことが重要です。

※格付けはあくまで格付会社の意見であり、発行体の経営破綻の可能性を保証するものではない点にご留意ください。

格付けの例

出典:日本証券業協会「金融・証券用語集”格付け”

投資の目的に合わせて「残存年数(満期までの期間)」を選ぶ

債券の残存年数(取引日から償還日までの残りの期間)も、重要な選定基準のひとつです。一般的に、残存年数が長いほど金融情勢の変化を受けやすくなるため、利回りは高くなる傾向にあります。いつまでに資金が必要になるのか、どのくらいの期間であれば資金を運用に回せるのかというご自身の投資目的に合わせて、適切な残存年数の銘柄を選ぶようにしましょう。

新興国債券や仕組債のハイリスク・ハイリターンな特徴に注意する

外国債券の中でも、特に注意が必要なのが「新興国債券」と「仕組債」です。

トルコやメキシコなどの新興国が発行する新興国債券は、先進国債券と比べて高利率な点が魅力ですが、為替の変動幅が大きく、経済情勢も不安定になりやすいため、デフォルト(債務不履行)のリスクが高くなります

また、仕組債はデリバティブ(金融派生商品)を組み合わせた複雑な構造を持つ債券です。高い金利が提示される一方で、参照する株価などの指標によって利率や償還金が変動し、途中での換金も難しいという特徴があります。これらはハイリスク・ハイリターンの商品であるため、仕組みを十分に理解できない場合は投資を控えるべきでしょう。

外貨建て資産運用で必須となる「為替リスク管理」の重要性

外国債券や外貨預金など、外貨建て資産を運用するうえで避けて通れないのが「為替リスク」です。為替変動リスクを正しく理解し、適切に管理することが運用の成否を大きく左右します。

為替変動による元本割れリスクを正しく理解する

外貨建て資産の最大のリスクは、為替レートの変動によって「円換算で元本割れ」を起こす可能性があることです。外貨ベースでの元本は保証されていたとしても、預入・購入時よりも「円高」が進んだ状態で円に換算して戻すと、為替差損が発生し、受取額が当初の元本を下回る可能性があります。外国債券投資は保有中の利金や償還条件があらかじめ定められているという特徴はあるものの、為替変動によっては損失が生じるリスクが常に伴うことを正しく認識しておきましょう。

通貨の分散と情報の取りやすさを意識する

為替リスクを抑えるための有効な手段のひとつが「通貨の分散」です。すべての資金をひとつの通貨に集中させるのではなく、値動きが異なる複数の国や地域の通貨に分けて投資することで、特定の通貨が下落した場合でも資産全体への影響を小さく抑えることが期待されます。

また、初めて外貨建て資産に取り組む方が通貨を選ぶ際は、「情報の取りやすさ」も意識することが大切です。情報の入手しやすさという観点では、値動きの根拠となる情報が比較的得やすい主要通貨(米ドルや、取引量世界第2位のユーロなど)を選ぶことも、通貨分散を検討するうえでのひとつの視点です。金利が高いという理由だけで、値動きが激しく情報が少ない新興国通貨に偏った投資をするのは避けたほうが無難です。

購入タイミングの分散と長期的な視点を持つ

為替レートの底値(最も円高になるタイミング)を正確に見極めることは、プロの投資家にとっても非常に困難です。そのため、投資するタイミングを一度に集中させず、複数回に分けて購入する「時間の分散」が有効な対策となります。一定額を定期的に購入し続けるドルコスト平均法を活用することで、高値掴みのリスクを抑えることができます。

また、外貨建て資産は、近い将来に使う予定のない「余裕資金」を活用して「長期間」にわたって運用することが重要です。運用期間が長くなればなるほど、為替相場の変動は平準化されやすくなります。仮に円高が進んで一時的に元本割れの状態になったとしても、相場が回復するまで保有を続けるという選択肢を取ることができます。

個別の銘柄選定や買い方に悩んだら、IFAに相談を

外国債券の仕組みや選び方、為替リスク管理について解説してきましたが、いざ実際に投資を始めようとすると、「どの銘柄を選べばいいのか」「自分に合った投資額はいくらなのか」と悩んでしまう方も多いでしょう。

一人で悩まず、専門家による包括的なアドバイスを受ける

世界中のさまざまな通貨・期間・発行体の債券の中から、ご自身のリスク許容度や投資目的に最適な銘柄を選び出すことは、投資初心者にとって決して容易ではありません。また、為替の動向や金融情勢を常にチェックし、適切なタイミングで売買を判断することも難しいものです。

そのような場合は、一人で悩まず専門家のアドバイスを受けるという選択肢もあります。専門家の客観的な視点を取り入れることで、気づきにくいリスクや選択肢を確認しながら運用を始められる点がメリットです

「IFA」の価値

専門家に相談する際の有力な選択肢となるのが「IFA(独立系金融アドバイザー)」です。IFAは、特定の銀行や証券会社に所属しない独立した立場の専門家です。

IFAに相談する最大の価値は、特定の金融機関の営業方針に縛られることなく、ご自身のライフプラン・性格・資産状況・リスク許容度を踏まえたアドバイスを受けられる点にあります。所属する証券会社等の取扱商品の範囲内でご自身の状況に合った外国債券の銘柄や、他の資産とのバランスを考慮した提案を受けられる点がメリットです。外貨建て資産の運用において、市況の変動に応じた冷静な判断や長期的な視点を維持するうえでの心強い相談相手となってくれるでしょう。

まとめ

本記事では、円安やインフレ対策として注目される外貨建て資産の中でも、「外国債券(生債券)」に焦点を当てて解説しました。

外国債券は、円預金にはない高い利回りと、他の資産との分散投資効果が得られる点が大きな魅力です。一方で、外貨預金との構造やコスト(為替手数料)の違いを正しく理解したうえで、為替変動による元本割れリスクや発行体の信用リスクを適切に管理することが不可欠となります。

高い金利だけにとらわれず、ご自身の投資目的に合った通貨や銘柄(残存年数・格付け)を賢く選ぶことが、外国債券投資で成果を上げるための鍵です。もし銘柄選びや為替リスクの管理に不安を感じる場合は、IFAへの相談も選択肢のひとつとなるでしょう。専門家の視点も取り入れながら、ご自身の判断で安心できる外貨建て資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

<外国債券に関する留意事項>

外貨建債券を募集・売出し等または証券会社等との相対取引により売買する場合は、その対価(購入対価・売却対価)のみを受払いいただきます。

証券会社等との相対取引により売買する場合は、取引価格※に取引の実行に必要なコストが含まれております。別途手数料をお支払いいただく必要はございません。

※証券会社等は、お客さまとのお取引にあたっては、社内時価を基準として証券会社等が定めた一定の値幅の範囲内において、売買対象銘柄の種類、市場環境(相場変動を含む。)、証券会社等が得るべき利益、銘柄固有の流動性、信用リスク、カントリーリスク、取引金額の規模等を考慮して取引価格(「お客さまが購入される価格」と「お客さまが売却される価格」)を決定しております。

為替取引には、証券会社等が定める為替手数料(為替スプレッド)がかかります。外貨建債券を円貨決済で購入される場合および利金・償還金の円貨での受取を指定した場合の為替取引、外貨建債券(円貨決済型)の購入時および途中売却時には当該為替手数料(為替スプレッド)がかかります。当該為替手数料(為替スプレッド)については各証券会社等のホームページ等をご確認ください。

債券の価格は、市場の金利水準の変化に対応して変動しますので、償還前に換金する場合には、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営、財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込むことがあります。

外貨建債券は、為替相場の変動等により損失が生じるおそれがあります。

詳しくは、各証券会社等のWEBサイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示または目論見書、契約締結前交付書面等の当社が交付する書面をご確認ください。

執筆者

山下 耕太郎

トレーダー、金融ライター

一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家・トレーダーに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。

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