NISAの金融機関変更の手順と注意点は?変更すべきタイミングとメリット・デメリット

2026年6月18日

  • 執筆
    勝目 麻希(ライター)

新NISAを始めたものの、「今の証券会社で本当に自分に合っているのだろうか」「他の証券会社のほうが良いかもしれない」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。NISA口座を開設できる金融機関(証券会社や銀行など)は1人1口座に限られますが、別の金融機関へ変更することができます

この記事では、金融機関を変更する具体的な手順、メリット・デメリットをはじめ、NISA口座の金融機関を見直すタイミングについて解説します。ご自身に合った金融機関を選び、より納得のいく資産形成を進めるための参考にしてください。

新NISAの金融機関は変更できる?基本ルールを解説

まずは、NISAの金融機関の変更に関する基本的なルールを解説します。

NISAは年単位での金融機関変更が可能

NISA口座は、すべての金融機関を通じて1人1口座しか開設できないのが原則です。しかし、一定の手続きを踏むことで、別の金融機関へ口座を移すことができます。 金融機関の変更は、年単位で行うことが可能です。今の金融機関に使いにくさを感じていたり、他に魅力的な金融機関を見つけたりしたときには、金融機関の変更を検討するのも一つの選択肢と言えるでしょう。

変更手続きのスケジュールと期限

NISAの金融機関を変更するための手続きは、変更したい年の前年10月1日~当年9月末日までに所定の手続きを行う必要があります。少しわかりにくい仕組みですので、2027年分のNISA口座から新しい金融機関に変更したい場合を例にご説明します。

手続きを行う時期 変更が適用される年 注意点・必要な準備
2026年10月1日 〜 2026年12月31日 2027年分から変更 翌年1月の買付を防ぐため、年内に旧金融機関の積立設定を解除しておくのがおすすめ。
2027年1月1日 〜2027年 9月30日 2027年分から変更 2027年に入ってから、変更前の口座で1度でも商品を買付すると、2027年中の変更はできなくなる。
2027年10月1日〜 2027年12月31日 2028年分から変更 2027年中の変更は不可。自動的に翌年分(2028年)の変更手続きとして扱われる。



2027年中にNISA口座を新しい金融機関に変更したい場合、変更に必要な手続きは、2026年10月1日から2027年9月30日までの間に行う必要があります。

ここで特に注意したいのが、年が明けてから当年分の変更を行うケースです。2027年1月1日以降に変更前の金融機関のNISA口座で一度でも商品を買付してしまうと、2027年中の金融機関の変更はできなくなってしまいます。 そのため、2027年から新しい金融機関を利用したい場合は、2027年に入ってからNISA口座を利用しないよう気をつけましょう。

また、つみたて投資枠で自動積立を設定している場合は、1月に買い付けが実行されないよう、前年のうちに積立設定を解除しておくなどの事前の準備が必要です。

なお、10月1日以降(10月〜12月)に手続きを行った場合は、自動的に翌年分(上記の例では2028年分)の変更として扱われます。希望するタイミングで新しい金融機関での投資を始められるよう、スケジュールには余裕をもって手続きを進めるよう心がけましょう。

NISAの金融機関を変更するメリット

金融機関の変更には、主に次のようなメリットが考えられます。

投資の選択肢が広がる可能性がある

金融機関を変更することで、購入できる投資商品の選択肢が広がり、より自分に合ったポートフォリオを構築できる可能性があります。証券会社や銀行などの金融機関によって、取り扱っている商品の種類や数が異なるためです。特に投資信託については、特定の金融機関でしか購入できない商品が多く存在します

たとえば、取扱銘柄が豊富な金融機関などに変更することで、より信託報酬(運用管理費用)が低いインデックスファンドや、成長投資枠で投資できる米国株式、海外ETF(上場投資信託)などを購入できるようになるケースがあります。自分の投資方針に合った商品を見つけやすくなる点は、大きなメリットと言えるでしょう。

ポイント還元やツールの利便性が向上することも

金融機関を乗り換えることで、ポイント還元率がアップしたり、専用ツールで管理がしやすくなったりするなど、利便性やお得度が向上するケースがあります。近年、多くの金融機関がクレジットカード決済による積立投資へのポイント還元や、投資残高に応じたポイント付与などのサービスを提供しており、その還元率や対象のポイントは各社で異なるためです。

また、スマートフォンアプリやパソコンの取引画面の使いやすさも、金融機関ごとに独自の特徴を持っています。たとえば、普段の買い物でよく利用しているポイントが貯まる金融機関に変更することで、貯まったポイントを投資に回すなど、より効率的な資産形成につなげることができます。

さらに、初心者にも見やすい操作画面を持つ専用アプリが提供されている金融機関を選ぶことで、日々の運用状況の確認や、マーケット情報の収集がスムーズになり、投資を長く続けやすくなるという視点も大切です。

NISAの金融機関を変更するデメリット・注意点

一方で、変更にはいくつかの注意点もあります。事前にしっかりと確認しておきましょう。

変更前の金融機関で保有している商品は移管できない

変更前の金融機関で購入した商品を新しい金融機関のNISA口座へそのまま移管することはできません。NISA制度のルール上、NISA口座間で株式や投資信託を移管することは認められていないためです。ただし、元の金融機関のNISA口座で新たに商品を買い付けることはできなくなりますが、そのまま保有して運用を続けることは可能です。

つまり、すでに保有している商品は、新しい金融機関へは移せず、元の金融機関のNISA口座でそのまま非課税で保有し続けるか、売却するかのいずれかを選択することになります。もし、管理を新しい金融機関の1箇所にまとめたい場合には、元の金融機関で商品を一度売却し、新しい金融機関で買い直すという方法もありますが、その際は価格変動リスクがあることや新たに非課税保有限度額の枠を消費してしまうことになるので注意しましょう。

その年の非課税枠を一度でも利用すると同年中の変更は不可

変更したい年の非課税枠をすでに利用している場合、その年中の金融機関の変更はできず、翌年からの変更となります。NISA口座は年単位での変更が可能ですが、1月1日~9月30日までの間に一度でもNISA口座で商品を買い付けてしまうと、当年分については他の金融機関に変更できない仕組みになっているためです。また、10月1日以降に変更手続きを行う場合は、当年中の買付の有無にかかわらず、翌年分のNISA枠からの変更扱いとなる点にも気をつけましょう。

変更手続きに時間と手間がかかる

金融機関を変更するためには、現在の金融機関と新しい金融機関の両方で手続きが必要となり、完了までに時間と手間がかかります。

変更前の金融機関から書類を取り寄せ、それを新しい金融機関へ提出し、さらに税務署での二重口座の確認などの審査を経る必要があるためです。具体的には、まず現在の金融機関に連絡して「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を発行してもらいます。

この書類が郵送などで手元に届くまでに日数を要することがあります。その後、新しい金融機関へ届いた書類と本人確認書類などを提出してNISA口座の開設を申し込みますが、税務署での審査を含めると、全体で数週間から1ヶ月程度の期間がかかるケースが一般的です。そのため、変更を決めた際はスケジュールに余裕をもって手続きを進めるよう心がけてください。

NISAの乗り換えを検討するタイミング

どのようなときに金融機関の変更を検討するのがよいのでしょうか。見直しのタイミングの目安をご紹介します。

買いたい商品が現在の金融機関で取り扱われていないとき

投資の知識がついてくると、「特定の投資信託やETF(上場投資信託)などに投資したい」という新たな希望が出てくることがあります。 買いたい商品が現在の金融機関で取り扱われていないときが、金融機関の変更を検討するひとつの見直し時期と言えるでしょう。

ライフステージの変化などで投資資金が増えたとき

昇進や子育ての落ち着きなど、ライフステージの変化によって投資に回せる資金が増えることがあります。投資額が増え、より幅広い選択肢の中から自分に合ったポートフォリオを構築したくなったときも、金融機関を見直すよい機会かもしれません。

運用についてプロに相談したいと考えたとき

最初は手数料の安さなどに惹かれてネット証券で始めたものの、市場の変動を経験する中で、自分一人での判断に迷いが生じることもあります。そのようなとき、専門家のアドバイスを受けながら運用したくなったタイミングで、サポート体制の充実した金融機関や専門家への乗り換えを検討するのも一つの方法です。

NISAの金融機関変更の手順

NISAの金融機関を変更するための具体的な手順は以下の通りです。

ステップ 手続き先 やること・必要なもの
①書類請求 現在の金融機関 「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」の発行請求
※Webサイト、書面、電話など金融機関指定の方法で手続き
②開設申込 新しい金融機関 新しいNISA口座の開設申し込み
【提出書類】
「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」・本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
③審査・開始 金融機関および税務署 口座開設の審査を待つ
※審査が無事に承認されれば、新しい金融機関での取引がスタート

① 現在の金融機関へ書類を請求する

まずは、現在NISA口座を開設している金融機関に対し、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」の発行を請求します。請求方法は、金融機関によってWebサイト上での手続きや書面、コールセンターへの連絡など異なります。

② 新しい金融機関へNISA口座の開設を申し込む

現在の金融機関から「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が手元に届いたら、新しい金融機関へNISA口座の開設を申し込みます。 申し込みの際には、届いた廃止通知書のほかに、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類を提出して手続きを行います。

③ 税務署の審査を経て取引開始

申し込み完了後、金融機関および税務署での審査が行われます。審査が無事に完了し、新しい金融機関でNISA口座の開設が承認されれば、取引を開始することができます

金融機関選びに迷ったら専門家(IFA)に相談する選択肢も

金融機関選びに悩んだら、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのも一つの選択肢となるでしょう。ここでは、IFAの仕組みやサポート体制について説明します。

金融機関のタイプ サポート体制の特徴
ネット証券 ・手数料が安く抑えられるコスト面の強みがある・情報収集から商品選びまで、基本的にすべて自分で判断して運用する必要がある
対面証券 ・担当者から市場動向や銘柄情報などの継続的なサポートを受けながら運用できる・証券会社の規模・方針により取り扱う商品が限定される可能性がある
・ネット証券に比べるとコストが割高になる傾向にある
IFA ・原則として担当者の転勤がなく、ライフステージの変化に合わせて長期にわたり同じ担当者からワンストップでサポートを受けられる
・ネット証券に比べるとコストが割高になる傾向にある

※比較表は一般的な傾向であり、すべてのIFAや対面証券に当てはまる訳ではありません。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の仕組み

自分に合った金融機関がわからない場合は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのも一つの選択肢です。IFAとは、特定の金融機関に属さず、独立した立場でアドバイスを提供する専門家のことです。IFAは複数の金融機関の商品を取り扱うケースが多いので、選択肢が広がる傾向にあります

自分に合ったサポート体制を選ぶという視点

ネット証券には手数料が安く抑えられるというコスト面の強みがありますが、投資方針を決めるための個別の継続的な対面サポートは基本的に限定的です。一方で、対面証券やIFAであれば、会社の方針や仕組みのもと、担当者から継続的なサポートを受けながら運用できる環境があります。 

どちらが良い、悪いということではなく、仕組みの違いを理解したうえで、ご自身の価値観や投資スタイルに合わせて選ぶことが大切です

まとめ

NISAの金融機関は年単位で変更することが可能です。投資の選択肢を広げたいときや、より充実したサポートを受けたいときなど、ご自身の状況に合わせて見直しを検討してみましょう。 金融機関選びや運用方針に迷ったときは、一人で抱え込まず、情報収集のためにIFAなどの専門家を頼るのも選択肢の一つです。自分に合った環境を整え、無理のない資産形成を進めていきましょう。

執筆者

勝目 麻希

ライター

新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売などを担当。商社へ転職後に結婚、出産を機に退職し、ライターとして独立。現在は、ファイナンシャルプランナーの知識を活かして、金融系メディアを中心に執筆している。

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